朝起きて床暖房のスイッチを入れても一向にリビングが暖かくならない。コーヒーを淹れて震えながら煙草を一本吸ってNHKを点けると丁度気象情報で渋谷の様子が写し出されていた。
「雪降ってんじゃん」
慌ててカーテンを開けて窓も開けると、薄暗い空にふわりふわりと白い物体がしかし大量に舞っていた。あまりの寒さに窓を閉め、これは中々部屋が暖まらない訳だと思い、床暖房の温度設定を最強にした。
お昼頃になり、窓から外を確認すると、さすがに道路には積もっていないものの、建物の屋根などにはうっすらと雪が積もっていた。すでに娘は友達と新宿のスイーツ(最近はケーキとか言わないんだね)を食べに行っていたし、息子は雪に興奮して少しおかしなテンションで外に遊びに行っていた。窓から数枚表の様子をオリンパスのXAで撮影して、僕はグラスに氷を入れて真っ昼間から雪見酒と決め込んだ。雪は綿飴のようなものから細かいものになったり、刻一刻と変化していて見ていると意外と楽しい。
そうこうすると息子が友達と一緒にびしょびしょになって帰って来て、さすがに外は寒いし、雪も積もらないし、児童館も休みだしで、ただの雨と一緒の状態だったようで、家で遊ぶ事にしたらしい。
友達が夕方帰宅すると、それにあわせたように娘も帰ってきた。今日は奥様は遅番でおまけにその後飲み会なので、子供達と一緒に近くのトンカツ屋さんに食べに行くことにした。
ここのトンカツ屋さんは、実は僕の知っているトンカツ屋さんの中で一番美味くて、お値段はまあ、ちょっと高い程度なんだけど、子供達も小さいときにこのトンカツを食べさせたらそれ以来、トンカツはここ以外のモノを進んで食べようとしなくなってしまった。1回無理して新宿の有名なトンカツ屋で食べさせたことがあったが、それでも店の中でキッパリと「家の近くのトンカツ屋さんの方が美味しい」と言い切るほど。
食育と言うことで、子供達に美味しいモノを食べさせるのは大事かもしれないが、しかし、お高い食べ物を1回与えてしまってそれが癖になると、親としてはとっても痛い。何が痛いってそりゃ経済的にだ。親と一緒に親の好みで良いモノを食べさせていると、そういうモノしか食べなくなってしまう。やっぱり子供が大きくなるまでは食事は粗食が一番だと思った。が、僕たち夫婦は子供の頃超粗食だったので、大人になってから箍が外れたように美味い食べ物を探し漁って、子供が生まれてからもそうしてしまった。なので子供が生まれて家族が四人になって、そして子供が大きくなって食べ盛りの今、我が家のエンゲル係数は異常に高い。
「雪降ってんじゃん」
慌ててカーテンを開けて窓も開けると、薄暗い空にふわりふわりと白い物体がしかし大量に舞っていた。あまりの寒さに窓を閉め、これは中々部屋が暖まらない訳だと思い、床暖房の温度設定を最強にした。
お昼頃になり、窓から外を確認すると、さすがに道路には積もっていないものの、建物の屋根などにはうっすらと雪が積もっていた。すでに娘は友達と新宿のスイーツ(最近はケーキとか言わないんだね)を食べに行っていたし、息子は雪に興奮して少しおかしなテンションで外に遊びに行っていた。窓から数枚表の様子をオリンパスのXAで撮影して、僕はグラスに氷を入れて真っ昼間から雪見酒と決め込んだ。雪は綿飴のようなものから細かいものになったり、刻一刻と変化していて見ていると意外と楽しい。
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友達が夕方帰宅すると、それにあわせたように娘も帰ってきた。今日は奥様は遅番でおまけにその後飲み会なので、子供達と一緒に近くのトンカツ屋さんに食べに行くことにした。
ここのトンカツ屋さんは、実は僕の知っているトンカツ屋さんの中で一番美味くて、お値段はまあ、ちょっと高い程度なんだけど、子供達も小さいときにこのトンカツを食べさせたらそれ以来、トンカツはここ以外のモノを進んで食べようとしなくなってしまった。1回無理して新宿の有名なトンカツ屋で食べさせたことがあったが、それでも店の中でキッパリと「家の近くのトンカツ屋さんの方が美味しい」と言い切るほど。
食育と言うことで、子供達に美味しいモノを食べさせるのは大事かもしれないが、しかし、お高い食べ物を1回与えてしまってそれが癖になると、親としてはとっても痛い。何が痛いってそりゃ経済的にだ。親と一緒に親の好みで良いモノを食べさせていると、そういうモノしか食べなくなってしまう。やっぱり子供が大きくなるまでは食事は粗食が一番だと思った。が、僕たち夫婦は子供の頃超粗食だったので、大人になってから箍が外れたように美味い食べ物を探し漁って、子供が生まれてからもそうしてしまった。なので子供が生まれて家族が四人になって、そして子供が大きくなって食べ盛りの今、我が家のエンゲル係数は異常に高い。
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オリンパスXAに詰めていたフィルムが先日終わりました。フィルムを巻き上げて取り出すと、レンズ部に黒いぽつぽつが。
「ん? カビか?」
でも、我が家にXAが届いた時のチェックではそんなものありませんでした。試しに綿棒で黒い点々を触ってみると取れました。
「これはもしや……劣化したモルトか?」
再び独りごちて、裏蓋のモルトが張ってある場所を指で触ると、ボロボロとモルトが朽ちて落ちて来ます。あちゃぁー。こんな所をチェックし忘れるとは……。とにかくモルトを交換しなくちゃ。
と、言うことで、やっと休みになった今日。オリンパスXAのモルト交換をする事にしました。
ちなみにモルトというのは、カメラの裏蓋や溝などに張ってある黒いスポンジのようなモノ。モルトプレーンと言います。決してウイスキーの材料とかではありません。わりかし新しいカメラには使われていませんが(当然デジタルカメラにはない)、ちょっと古いカメラには必ず張ってあります。このスポンジで、蓋の隙間から漏れてくる光をフィルムに当てないように密閉させる役割を果たしています。ただこのモルト、経年劣化でぼろぼろになるのは有名な話で、古いカメラではまずここをチェックするのがセオリーとされているのでした。それを怠った僕はどうしようもないですね。とほほ。
さて、まな板の上にあがったXA君。これから素人手術をされる訳ですから、彼もドキドキでしょう。今回の手術は、裏蓋の腐ったモルトの交換と、溝に入ったモルト屑の除去です。本当は溝にもモルトが入っていたのかもしれませんが、すでに跡形もなく消え去っており、今回は裏蓋のみの張り替えで様子を見ることにしました。
まず、作業に邪魔なフィルム圧版を取り外します。黒いポッチに嵌っている銀色のプレートを右にずらして外します。
まだこれでは圧板は外れません。OM-1だと反対側も同じようになっているのですが、XAにはそれがありません。圧板の裏の構造を見れば解るのですが、次は圧板自体を上にずらします。
すると圧板が外れます。圧板の裏はこういう構造になっています。知らないと中々解らないですよね。僕もかなり悩みました(笑)。
次に万が一の事に備えてレンズ部分を保護します。僕の場合は太い幅のテープがあったのでそれでマスキングしました。レンズはカメラの命ですからね、保護は絶対に行いましょう。
さて、これから裏蓋の劣化したモルトを除去する作業を始めます。オペ開始です。このままの状態ではモルトは中々はがれないので、僕はこの薬品を使いました。
プラモデルを売っている所なら売っているであろうミスター・カラーの薄め液です。本来はプラモデルに塗る塗料を薄めるのに使いますが、今回はこれでモルトを溶かします。プラモデルに使うモノなので、プラボディのXAに使っても大丈夫であろうと、ネットを検索して知りましたのです。
綿棒に薄め液を浸し、モルトの上に塗って、マイナスドライバーとかでシコシコと削り綺麗にモルトを除去していきます。これは根気のいる作業です。気合いをいれてかかりましょう。
爪楊枝などにティッシュを巻いて、それに薄め液を塗布して、ボディの溝からもモルトのカスを除去していきます。ファインダの所は穴というか、ファインダと繋がっている部分があるので、ファインダ内にモルト屑が入ってしまわないように注意しましょう。ぼくはざっくり入れてしまいました(トホホ)。でも、ファインダを覗いてもモルトが目に近すぎて見えないので、撮影時に気になることはなさそうなので、ファインダ内のモルト屑はなかったことにする事にしました。
モルトを綺麗に除去したら、今度は新しいモルトを張ります。
ヨドバシカメラでモルトを探しましたが売っていなかったので、今回はこれ、習字の時に使う下敷きを使用することにしました(これもネットの検索で知りました)。娘に下敷きくれと言ったら、見事に「やだ」と言われたので、100円ショップで買ってきました。最近の下敷きは裏面が滑り止めになっているみたいで、ここに両面テープを貼って、予め計っておいた元々のモルトの寸法にあわせ切り出し、貼り付けます。
綺麗に代用モルトが貼れました。
ネットの情報によると、書道の下敷きは通常のモルトと違いほとんど劣化がおこらないようです。嘘か本当か解りませんが、要はカメラの中に光が入り込まなければ良いわけで、ダメになったらまた張り替えれば良い事です。
作業前とは逆の手順でフィルム圧板を取り付け、レンズ部に張ってあったマスキングを剝がして完成です。今回はボディの溝にはモルトを入れませんでした。その代わり、裏蓋全週に貼り付けました。デフォルトではパトロネ室の上の方には張ってなかったのですが、ここにも貼り付けて光線進入を予防してみます。
あとはチャンと蓋が閉まれば良いのですが、最初は中々閉まらなくて、
「やば、張りすぎたか?」
と思いましたが、何度か開けたり閉めたりしてみたら、馴染んできたみたいで、普通に閉まるようになりました。前よりピッタリと裏蓋が嵌って、ぐらつかなくならなくなりました。
と、言うことでオペ終了です。お疲れ様でした。
早速トライ-Xを詰めて試写をしましょう。
そう言えば、今まで99円ショップのLR44電池を使って居ましたが、XAは本当はSR44仕様なので、下敷きを買った100円ショップになんとSR44が売っていたので、それに入れ替えました。LR44とSR44では電圧が0.5ボルト違うので、絞り優先AEのXAでは、一応チャンとした電圧の方が良いだろうと言う判断からです。しかし、SR44が100円ショップで100円で買えるとは……。ビックリでした。
と、言うことで、またXAでバジバシ写真を撮りましょう。XAは楽しいですね。撮影する行為自体が楽しいです。
「ん? カビか?」
でも、我が家にXAが届いた時のチェックではそんなものありませんでした。試しに綿棒で黒い点々を触ってみると取れました。
「これはもしや……劣化したモルトか?」
再び独りごちて、裏蓋のモルトが張ってある場所を指で触ると、ボロボロとモルトが朽ちて落ちて来ます。あちゃぁー。こんな所をチェックし忘れるとは……。とにかくモルトを交換しなくちゃ。
と、言うことで、やっと休みになった今日。オリンパスXAのモルト交換をする事にしました。
ちなみにモルトというのは、カメラの裏蓋や溝などに張ってある黒いスポンジのようなモノ。モルトプレーンと言います。決してウイスキーの材料とかではありません。わりかし新しいカメラには使われていませんが(当然デジタルカメラにはない)、ちょっと古いカメラには必ず張ってあります。このスポンジで、蓋の隙間から漏れてくる光をフィルムに当てないように密閉させる役割を果たしています。ただこのモルト、経年劣化でぼろぼろになるのは有名な話で、古いカメラではまずここをチェックするのがセオリーとされているのでした。それを怠った僕はどうしようもないですね。とほほ。
さて、まな板の上にあがったXA君。これから素人手術をされる訳ですから、彼もドキドキでしょう。今回の手術は、裏蓋の腐ったモルトの交換と、溝に入ったモルト屑の除去です。本当は溝にもモルトが入っていたのかもしれませんが、すでに跡形もなく消え去っており、今回は裏蓋のみの張り替えで様子を見ることにしました。
まず、作業に邪魔なフィルム圧版を取り外します。黒いポッチに嵌っている銀色のプレートを右にずらして外します。
まだこれでは圧板は外れません。OM-1だと反対側も同じようになっているのですが、XAにはそれがありません。圧板の裏の構造を見れば解るのですが、次は圧板自体を上にずらします。
すると圧板が外れます。圧板の裏はこういう構造になっています。知らないと中々解らないですよね。僕もかなり悩みました(笑)。
次に万が一の事に備えてレンズ部分を保護します。僕の場合は太い幅のテープがあったのでそれでマスキングしました。レンズはカメラの命ですからね、保護は絶対に行いましょう。
さて、これから裏蓋の劣化したモルトを除去する作業を始めます。オペ開始です。このままの状態ではモルトは中々はがれないので、僕はこの薬品を使いました。
プラモデルを売っている所なら売っているであろうミスター・カラーの薄め液です。本来はプラモデルに塗る塗料を薄めるのに使いますが、今回はこれでモルトを溶かします。プラモデルに使うモノなので、プラボディのXAに使っても大丈夫であろうと、ネットを検索して知りましたのです。
綿棒に薄め液を浸し、モルトの上に塗って、マイナスドライバーとかでシコシコと削り綺麗にモルトを除去していきます。これは根気のいる作業です。気合いをいれてかかりましょう。
爪楊枝などにティッシュを巻いて、それに薄め液を塗布して、ボディの溝からもモルトのカスを除去していきます。ファインダの所は穴というか、ファインダと繋がっている部分があるので、ファインダ内にモルト屑が入ってしまわないように注意しましょう。ぼくはざっくり入れてしまいました(トホホ)。でも、ファインダを覗いてもモルトが目に近すぎて見えないので、撮影時に気になることはなさそうなので、ファインダ内のモルト屑はなかったことにする事にしました。
モルトを綺麗に除去したら、今度は新しいモルトを張ります。
ヨドバシカメラでモルトを探しましたが売っていなかったので、今回はこれ、習字の時に使う下敷きを使用することにしました(これもネットの検索で知りました)。娘に下敷きくれと言ったら、見事に「やだ」と言われたので、100円ショップで買ってきました。最近の下敷きは裏面が滑り止めになっているみたいで、ここに両面テープを貼って、予め計っておいた元々のモルトの寸法にあわせ切り出し、貼り付けます。
綺麗に代用モルトが貼れました。
ネットの情報によると、書道の下敷きは通常のモルトと違いほとんど劣化がおこらないようです。嘘か本当か解りませんが、要はカメラの中に光が入り込まなければ良いわけで、ダメになったらまた張り替えれば良い事です。
作業前とは逆の手順でフィルム圧板を取り付け、レンズ部に張ってあったマスキングを剝がして完成です。今回はボディの溝にはモルトを入れませんでした。その代わり、裏蓋全週に貼り付けました。デフォルトではパトロネ室の上の方には張ってなかったのですが、ここにも貼り付けて光線進入を予防してみます。
あとはチャンと蓋が閉まれば良いのですが、最初は中々閉まらなくて、
「やば、張りすぎたか?」
と思いましたが、何度か開けたり閉めたりしてみたら、馴染んできたみたいで、普通に閉まるようになりました。前よりピッタリと裏蓋が嵌って、ぐらつかなくならなくなりました。
と、言うことでオペ終了です。お疲れ様でした。
早速トライ-Xを詰めて試写をしましょう。
そう言えば、今まで99円ショップのLR44電池を使って居ましたが、XAは本当はSR44仕様なので、下敷きを買った100円ショップになんとSR44が売っていたので、それに入れ替えました。LR44とSR44では電圧が0.5ボルト違うので、絞り優先AEのXAでは、一応チャンとした電圧の方が良いだろうと言う判断からです。しかし、SR44が100円ショップで100円で買えるとは……。ビックリでした。
と、言うことで、またXAでバジバシ写真を撮りましょう。XAは楽しいですね。撮影する行為自体が楽しいです。
っうほど寒くはなかったですけどね、今日は。
でも、会社帰りに子供達+自分のタメにいつものたこ焼き屋でたこ焼きを購入。
子供達はちゃんとソースをかけるんだけど、僕はプレーン(というのか?)のたこ焼きにして貰う。何処のたこ焼き屋でもそうするので、お店によっては「本当に良いんですか?」と聴かれるほど。でも、たこ焼きの本当の味を知るにはプレーン(だから、そう言うのか? 本当に)が一番である。ソースなどに誤魔化されない本当のお店の味を知ることが出来るのです。
そしてプレーン(ヨーグルトか)のたこ焼きが美味ければ、そのたこ焼きやに間違いがないのです。こう書くと、某関西地区の面々から苦情が来そうですが、まあ、東京では間違いないです。お試し下さい。ソースなしを断るお店はろくなもんじゃねぇ(長渕剛か)です。
とは、いいながら、滅多に食べ物を「不味い」と思った事がない粗食人生を歩んでいるんですけどね僕は。
でも、会社帰りに子供達+自分のタメにいつものたこ焼き屋でたこ焼きを購入。
子供達はちゃんとソースをかけるんだけど、僕はプレーン(というのか?)のたこ焼きにして貰う。何処のたこ焼き屋でもそうするので、お店によっては「本当に良いんですか?」と聴かれるほど。でも、たこ焼きの本当の味を知るにはプレーン(だから、そう言うのか? 本当に)が一番である。ソースなどに誤魔化されない本当のお店の味を知ることが出来るのです。
そしてプレーン(ヨーグルトか)のたこ焼きが美味ければ、そのたこ焼きやに間違いがないのです。こう書くと、某関西地区の面々から苦情が来そうですが、まあ、東京では間違いないです。お試し下さい。ソースなしを断るお店はろくなもんじゃねぇ(長渕剛か)です。
とは、いいながら、滅多に食べ物を「不味い」と思った事がない粗食人生を歩んでいるんですけどね僕は。
夜勤明けだった。
始発電車で会社から帰宅し、新宿に着いたら何故だか新宿から歩いて帰ろうかと思った。身体はクタクタに疲れていたのに。
地下鉄の改札を抜けて地上に上がると、西口の空は既に白々と明けていた。夜の暗がりで仕事をし、始発電車に乗るまでは真っ暗な街並みを歩いていたので、ちょっと目がビックリして眠気も少し覚めた。
JRの線路づたいを歩いてみる事にした。今でこそ「想い出横町」なんて看板が出ているけど、昔は「ションベン横町」なんて呼ばれていた安酒場が集まった通りだ。朝だと言うのにまだ営業している店があった。酔っ払った三人組の客が、肩を組んでお互い千鳥足で路地を歩いているのも見えた。今の明るさなら写真が撮れるかもと思い、千鳥足の三人組の後ろ姿を捉えようと僕はリュックからOM-1を取り出し、構えた。するとガラガラと引き戸が開いて、横の店から初老の男性がいきなり僕の前に出てきた。おっ、と小さな声を出し、うつろな目でカメラを構えた僕を上から下まで舐めるように見ると、初老の男性は言った。
「何を撮っているんだ」
正直僕はトラブルになったらまずいな、と思いながらファインダから目を離し、男性の顔を見ながら言った。
「いえ、別に、これと言って……」
初老の男性は焦点が定まらないような目で僕を見つめ、前後左右に小さく揺れながら、
「こんなんでビビってたら良い写真は撮れないぞ」
そう言うと男性は僕の肩を片手で叩き、大声で笑いながら僕の後ろへ歩き去って行った。辺りには男性の吐いたアルコール臭が残っていた。
気を取り直して再びカメラを構えてファインダを覗くと、千鳥足の三人組は遙か前方に遠ざかっていた。案外歩くのが速いんだな、と思いながら、面白い構図ではなくなってしまったが、とりあえず僕はシャッターを落とした。
始発電車で会社から帰宅し、新宿に着いたら何故だか新宿から歩いて帰ろうかと思った。身体はクタクタに疲れていたのに。
地下鉄の改札を抜けて地上に上がると、西口の空は既に白々と明けていた。夜の暗がりで仕事をし、始発電車に乗るまでは真っ暗な街並みを歩いていたので、ちょっと目がビックリして眠気も少し覚めた。
JRの線路づたいを歩いてみる事にした。今でこそ「想い出横町」なんて看板が出ているけど、昔は「ションベン横町」なんて呼ばれていた安酒場が集まった通りだ。朝だと言うのにまだ営業している店があった。酔っ払った三人組の客が、肩を組んでお互い千鳥足で路地を歩いているのも見えた。今の明るさなら写真が撮れるかもと思い、千鳥足の三人組の後ろ姿を捉えようと僕はリュックからOM-1を取り出し、構えた。するとガラガラと引き戸が開いて、横の店から初老の男性がいきなり僕の前に出てきた。おっ、と小さな声を出し、うつろな目でカメラを構えた僕を上から下まで舐めるように見ると、初老の男性は言った。
「何を撮っているんだ」
正直僕はトラブルになったらまずいな、と思いながらファインダから目を離し、男性の顔を見ながら言った。
「いえ、別に、これと言って……」
初老の男性は焦点が定まらないような目で僕を見つめ、前後左右に小さく揺れながら、
「こんなんでビビってたら良い写真は撮れないぞ」
そう言うと男性は僕の肩を片手で叩き、大声で笑いながら僕の後ろへ歩き去って行った。辺りには男性の吐いたアルコール臭が残っていた。
気を取り直して再びカメラを構えてファインダを覗くと、千鳥足の三人組は遙か前方に遠ざかっていた。案外歩くのが速いんだな、と思いながら、面白い構図ではなくなってしまったが、とりあえず僕はシャッターを落とした。
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プロフィール
HN:
Ocha
年齢:
51
HP:
性別:
男性
誕生日:
1972/11/25
職業:
会社員
趣味:
多数
自己紹介:
若い頃は転々と職を変え、一時は教習所の教官を経験するも、結局古巣の建設業に戻り、現場監督から、現在は設計者に。
酒と煙草と家族と亀を愛するアラフォー万年平社員。
そして職歴と同じようにブログも転々とし、三度地面の下から復活。殆ど時事ネタを書かない、情報としては全く価値のない私的な内容を送る、読んでも全くタメにならない、どーしよーもないこのブログへようこそ。
※写真はクリックすると少し大きく表示されます。
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